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【遺留分対策】妻に全財産を遺したい場合

状況

Cさんの家族は、長男、長女がいらっしゃいましたが、子供は独立し、裕福ではないものの満足できる生活を送っていました。

一方、Cさんの妻は、長らく病気を患っており、自分がなくなった時に医療費が支払えるかの心配がありました。

そこで、Cさんは自分の妻にのみ遺産を渡したいと思い、遺言の作成を希望されました。

ポイント

相続人には、遺留分減殺請求といって、国で定められている相続の分け前を主張する権利があります。そのため、いくら遺言をのこしても、その主張をされ、裁判になってしまう場合もあります。
それらが起こらないように、上手に遺言を書くことが重要です。

当事務所では、長男、長女が安定した生活を送れていること、奥様が病気で医療費の支払が心配であるため遺産をすべて渡したいことを明記し、遺言を作成しました。

遺言と遺留分の関係

遺言書は、遺産の相続をスムーズに行い相続人間でのトラブルを防ぐために、生前準備しておく方が多いかと思います。

その内容は原則として法律で定められた相続の規定よりも優先されることになるものの、遺留分という制限が設けられています。

遺留分とは

遺留分(いりゅうぶん)とは、特定の相続人が最低限取得することのできる遺産の取り分のことをいい、亡くなった人が遺言を遺していたような場合でもこの遺留分を奪うことはできません。

兄弟姉妹には遺留分が認められません。

遺言で遺留分を排除できるのか

すべての財産を一人に相続させる場合、必ずといっていいほど遺留分は問題になります。いくら遺言者であっても相続人の権利である遺留分を完全に奪うことはできないのです。

遺留分侵害額請求権は必ず行使されるとは限りませんが、遺産をもらえない相続人が権利を行使すると意思表示したときには請求の効果は発生します。

すべての財産を一人に相続させられるかどうかというのは、相続人の気持ち次第で行方が変わってきます。

先ほどのケースでは、長男、長女が安定した生活を送れていること、奥様が病気で医療費の支払が心配であるため遺産をすべて渡したいことを明記することで、遺言が執行された際にトラブルにならないよう対策をしました。

なお、遺留分は相続があったことを知ったときから1年、または相続の発生から10年で時効となり消滅します。

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この記事を担当した司法書士
司法書士法人つばさ総合事務所 代表司法書士 大久保 博史
保有資格司法書士
専門分野相続
経歴平成9年1月に司法書士法人つばさ総合事務所を設立 (平成19年8月に法人化)
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