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「長男には相続させたくない」― しかし親としての思いも残したい。ご夫婦の気持ちを公正証書遺言で形にした事例

ご相談の背景

80代のご夫婦から、公正証書遺言作成についてのご相談をいただきました。

ご夫婦には、

  • 長女
  • 二女
  • 長男

の3人のお子様がいらっしゃいました。

しかし長男とは、20年以上にわたり音信不通の状態が続いていました。過去には、借金問題や家賃滞納などについて、ご両親が経済的支援を繰り返していた経緯もありました。

最近になって、長男が生活保護を受給しているとの連絡が行政経由で入り、ご家族としても今後の相続について強い不安を抱えるようになったとのことでした。

その中で、ご夫婦のご意向は明確でした。
「長男に財産を承継させたくない」

一方で、
「親としての気持ちまで否定したいわけではない」
という複雑な感情も抱えておられました。

ご相談時の主なお悩み

ご夫婦が特に心配されていたのは、次のような点でした。

  • 自分たちの死後、長男が相続に関与して家族関係が混乱すること
  • 長女・二女にできるだけ負担をかけたくないこと
  • ご夫婦のどちらが先に亡くなるか分からないため、二次相続まで見据えた対策必要なこと
  • 長男を完全に拒絶するような形にはしたくないこと

単に「相続させない」という法律問題ではなく、

  • 家族関係
  • 親としての感情
  • 残される子ども達への配慮

まで含めた、とても繊細なご相談でした。

司法書士からのご提案

本件では、次のような対策をご提案しました。

1.ご夫婦それぞれが公正証書遺言を作成すること

まず重要だったのは、ご夫婦双方が遺言を作成することでした。

たとえば、

  • 夫が先に亡くなった場合
  • 妻が先に亡くなった場合

のどちらでも、ご本人の意思が実現できるよう、二次相続まで想定した内容を組み立てました。

2.「配偶者→娘2人」という承継の流れを設計

遺言内容としては、

第一次相続
先に亡くなった配偶者の財産は、すべてもう一方の配偶者へ承継

第二次相続
残された財産は、長女・二女へ2分の1ずつ承継

という形を基本に設計しました。

これにより、長男を遺産承継の中心から外しつつ、ご夫婦の生活保障も確保する形となりました。

特に重視した「付言事項」

本件で非常に重要だったのが、「付言事項」の作成です。

遺言書は財産の分け方だけを書くものではありません。
ご本人の思いを、ご家族へ伝える役割もあります。

ご夫婦は、

  • 長男に対して長年苦労してきたこと
  • 財産は渡さないという結論に至ったこと
  • しかし親としての情愛までは失っていないこと

を、きちんと言葉として残したいと考えておられました。

そこで、

  • 「親としての気持ちは今も変わらない」
  • 「よく考えた末の判断である」
  • 「この点は許してください」
  • 「皆仲良くしてほしい」

といった内容を、付言事項として丁寧に整理しました。

法律的な効力だけでなく、

  • 残された家族の感情面
  • 将来の争い予防
  • ご本人の人生の締めくくり

という観点からも、大切な部分でした。

実際を行ったサポート

本件では、公正証書遺言作成に向けて、

  • 相続関係の整理
  • 財産内容の確認
  • 相続の流れの図解説明
  • 遺言内容の文案作成
  • 公証役場との事前調整
  • 当日の口述練習
  • 公証役場への同行

まで一貫して対応しました。

ご高齢のご夫婦でしたので、公証人との面談前には、遺言内容を安心してお話しいただけるよう、事前練習も実施しました。

解決結果

最終的に、ご夫婦それぞれについて公正証書遺言を無事作成することができました。

その結果、

  • 長男を遺産承継から外したいという希望
  • 配偶者の生活保障
  • 長女・二女への円滑な財産承継
  • 長男への親としての思いを残したいという感情面

これらをバランスよく形にすることができました。

ご家族からも、
「気持ちの整理ができた」
「安心できた」
とのお言葉をいただきました。

本事例のポイント

遺言書は「財産分け」だけではありません

相続対策では、

  • 誰に何を渡すか

だけでなく、

  • なぜその内容にしたのか
  • 家族へ何を伝えたいのか

も非常に重要です。

特に、

  • 疎遠な相続人がいる
  • 家族関係が複雑
  • 特定の相続人へ配慮したい
  • 争いを予防したい

というケースでは、公正証書遺言と付言事項が大きな意味を持ちます。

当事務所では、法律面だけでなく、ご家族の感情や背景事情にも配慮しながら、将来の安心につながる遺言書作成をサポートしております。

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この記事を担当した司法書士
司法書士法人つばさ総合事務所 代表司法書士 大久保 博史
保有資格司法書士
専門分野相続
経歴平成9年1月に司法書士法人つばさ総合事務所を設立 (平成19年8月に法人化)
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