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【司法書士が解説】家族が余命宣告を受けた…緊急時の遺言書作成はどうする?

親族が突然の余命宣告を受け、「いつ何があってもおかしくない」と言われたら、ご家族は大変な不安を抱えることでしょう。そのような状況の中で、「自分の財産を誰にどう残すか、自分の意思で決めておきたい」とご本人が望まれた場合、残された時間は非常に限られています。「いつ何があってもおかしくない」状況下でも、決して諦めず、迅速に最善の策を講じることが重要です。

【事例】「余命1か月」からのご相談

当事務所に、「病状が思わしくない姉の遺言書を作りたい」とご親族から緊急のご相談が寄せられました。お話を伺うと、すでに余命1か月の宣告から期間が経過しており、医師からは非常に緊迫した状態だと伝えられていました。ご本人の「最期まで自分の財産の行き先をご自身の意思で決めておきたい」という強い想いにお応えするため、一刻を争う対応を開始しました。

緊急時の遺言書作成は「スピードと確実性」の両立が重要

遺言書にはいくつか種類がありますが、最も安全で確実なのは公証人に作成してもらう「公正証書遺言」です。しかし、公証人とのスケジュール調整には通常数日〜数週間の時間がかかってしまいます。そこで、最悪の事態(遺言が作成できなくなるリスク)を回避するため、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の二段階で準備を進めることが極めて重要です。

ステップ①:【応急処置】自筆証書遺言の急ぎ作成
ステップ②:【並行手配】公証人との緊急打ち合わせ・出張の調整
ステップ③:【最終目標】公証人の病院出張による公正証書遺言の完成

まずは当面の備えとして、ご自身の字で書いていただく「自筆証書遺言」を至急作成していただき、それと並行して、公証役場へ緊急の打ち合わせを申し込みました。

容態急変を乗り越え、病室で公正証書遺言が完成

公正証書遺言の準備を進めている最中、ご本人の容態が急変して緊急入院となってしまいました。一時は遺言書の完成が危ぶまれましたが、医師やご家族と連携を取りながら、体調の推移を慎重に見守りました。数日後、幸いにも意識がはっきりとされたため、容態が持ち直したタイミングで公証人に病院まで足を運んでいただき、無事に公正証書遺言を完成させることができました。

病状が急変した場合の「臨終遺言(危急時遺言)」とは?

今回は幸運にも公正証書遺言を作成できましたが、状況によってはペンを握ることもできなくなってしまうケースがあります。遺言には一般的な「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」のほかに、死期が迫っている特別な状況下においてのみ認められる「臨終遺言(危急時遺言)」という手段も選択肢に入ってきます。

病気などでご自身で署名ができない場合、3人以上の証人の前で遺言の内容を口頭で伝え、証人の1人がそれを書き留めるという方式です。

臨終遺言(危急時遺言)のリスクと注意点
臨終遺言はあくまで「最終手段」として捉えるべきです。以下の理由から、後々の手続きが煩雑になり、親族間でトラブルになるリスクが潜んでいます。

・証人として3人以上の立ち会いが必要になる
・作成後、20日以内に家庭裁判所で「確認」の手続きをしなければ効力が発生しない
・「本人は本当に意識がはっきりしていたのか?」など、後から有効性をめぐって争いになりやすい

最期まで自分の意思を残すために(司法書士からのメッセージ)

今回は、迅速な二重の備えとご本人の気力のおかげで、法的にもっとも確実な「公正証書遺言」を残すことができ、ご家族も心から安心されていました。しかし、これは一歩間違えれば、どんな遺言書すら残せない状況になりかねない、薄氷を踏むような対応でした。

病状の進行が早かったり、意識が朦朧としてしまえば、ご自身の意思を形にすることはできなくなってしまいます。ご自身の遺志を正確に残し、のこされたご家族がスムーズに手続きを行えるようにするためにも、「まだ元気だから大丈夫」なうちに遺言書の作成をご検討いただくことを強くお勧めいたします。

当事務所では、ご事情に応じた遺言書作成のサポートから、万が一の際の緊急対応まで承っております。お一人で悩まず、まずは一度ご相談ください。

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この記事を担当した司法書士
司法書士法人つばさ総合事務所 代表司法書士 大久保 博史
保有資格司法書士
専門分野相続
経歴平成9年1月に司法書士法人つばさ総合事務所を設立 (平成19年8月に法人化)
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